英教史:月報213号

日本英語教育史学会月報213号を発行しました。
学会サイト上の「抜粋」は、ここ。抜粋というか、1ページめだけをPDFにしたもの(今号は、8ページ立ての月報です)。
来月の例会は京都。
http://tom.edisc.jp/e-kyoikushi/monthly.htm
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今回のEDITOR'S BOX
▼会員の皆様方と研究上の情報交換ができることは、とても嬉しく、励みになります。最近入手した情報をいくつかご紹介します。▼竹下和男先生による『英語は頭から訳す:直読直解法と訳出技法14』(北星堂書店, 2007年)。「先人達の創意工夫の跡をたどり、その転換技法を整理・統合」し、14の技法にまとめてあります。具体的な技法が豊富な例とともに分りやすく解説されたこの書には、斎藤秀三郎、村田祐治、浦口文治、伊藤和夫らへの言及もあり、歴史研究の上でも大変興味深い学習書です。▼安部規子先生「修猷館の英語教育:大正時代を中心に」(『有明工業高等専門学校紀要』43, 2007年)。福岡県の修猷館高校図書館に所蔵された資料を掘り起こし、当時の英語教育の跡を辿る一連のご研究。歴史研究において、同窓会雑誌の果たす役割の大きさを痛感します。明治、大正と続けて論文化されていますが、これまでに取り上げられたものは、修猷館高校図書館の「戦前の未整理古書のごく一部にすぎない」とのこと。引き続き調査と成果の公表を続けくださることを期待しています。▼手作りの同人誌『痕跡』に一連の「ことば」に関する論考を発表していらっしゃる山田 豪先生。『痕跡』3〜5号には「筋の通った言葉の継承はどこに (1)〜(3)」。ここで投げかけられた諸問題(「日本人は、無意識な配慮や場の和といった肌合い感覚に根ざす心根を、子どもに継承してほしいのではないか」「子どもは苦しくても一つの価値観に従って言葉を構築し、人々との関係の中で生き方をつくり続けていくことが必要」「言葉は伝達の道具であることが当然視され、最も基本的な人間教育が無視されている」など)によって、私たちは「英語教育においてどう人を育てていくか」を考える機会を与えられます。『痕跡』No.3巻頭の、森有禮からの引用と解説は、9月例会での山田先生のご発表と重なるところもあり、心に響きます。▼さて、「猛残暑!」です。「暑さ寒さも彼岸まで」と聞いて育ちましたが、9月の下旬にこの暑さではたまりません。「地球温暖化」と言いますが、「温暖」という言葉は少し穏やか過ぎるのではないか、と少し腹を立てております。▼10月は恒例となった秋の関西例会。今年二度目の京都を楽しみたいと思います。皆様、ぜひご参集ください。(HB)