脳のデフラグ

【英学徒の隠れ家日記より】

「眠らなくてもいい」という人が羨ましい。睡魔に襲われると「起きていられない」僕は、短時間睡眠の人や、徹夜のできる人のことを凄いと思う。眠れない悩みを持つ人には申し訳ないが、僕のは「過眠」気味の悩みだ。それでいつでもどこでも、寝ろと言われれば眠ることができる(たぶん)。

「朝2時起きで何でも...」というわけではないが、朝はかなり早く目覚める。人がまだ眠っている時間帯にメールを出すので、君は何時まで起きているのかと尋ねられることがある。起きているのは事実だけど、前の晩からの連続ではない。

「眠りをあまり気にしなかった」と田中菊雄先生。冬には外套を着込んで勉強し、眠くなったらそのまま横になって眠り、しばらくすると寒さで目が覚め、それからまた勉強に励む日々。寝床に入らない生活だ。平日の僕がまさにそう。田中菊雄先生と違って、コタツに入っているところが甘っちょろいのだけど・・・。

短時間の睡眠でも、目覚めた直後は脳が働く。眠い時と比べると、格段に回転速度が速い。だから起きてすぐの「朝飯前」は、難しい仕事も簡単に片付く、と書いたのは外山滋比古先生だったか。午睡をして、午後にも朝飯前状態を作る、というエッセイには膝を打った。まさにこれだ、と。

学生諸君を見ていると、昼休み後の時間が一番辛そうだ。教壇側も実は辛いのだよ。だから僕は、昼休みに極力眠る。15分くらいの予定で眠ると、だいたい12分くらいで目覚める。その後はスッキリだ。

ある進学校では、生徒に午睡を奨励しているという。そのための部屋も確保しているとか。取り組み始めてから、午後の学習効率が高まったらしい。

午後1時半から2時くらいになると、かなり強い眠気が来る。これは多くの人が知っている。だけど今の社会の仕組みは「気力で眠気に打ち勝て!」だ。学校や、多くの職場で、眠気との戦いは続く。戦わないで「怠惰」のレッテルを貼られてしまう人は多い。眠気の訪れは自然の姿なのに。

なぜみんな気づかないのかな。自然体で生活を送るためには、シエスタの文化が絶対に、そう絶対に、必要なんだよ。少なくとも僕にとっては。(だからシエンタに乗っているのさ。ふ。)

まあそれはともかく、早朝目覚めてちょっと仕事した後は、またちょっと眠る。「二番寝」と言う人もいる。今朝は二番寝を2回。それぞれ昔を思い出すような夢を見る。夢はレム睡眠中に起こるとか、覚醒時の経験を整理する役目を持っているとか、眠りの科学はとても興味深い。

結局、目覚めがスッキリするのは、眠っている間に、脳に蓄えられた情報が整理されることとも関係あるのだろう。そうやって、問題解決に役立ったり、目覚めた後の脳の快適な作動を目指すのが眠りの役割なのだな、と考える。パソコンで言うと「デフラグ」というのがこれに近いのではないだろうか。

よし、では今日も、脳の中を最適に保つとしよう。