会読の解読

 漢学,蘭学,英学の訳読課程において,素読に続いて行われたのが「会読」である。

 会読というのは,基礎的な語彙・文法を学んだ後に,あるテクストをどう解釈するかを集団で吟味する学修過程のこと。今で言う輪読,ゼミナール,協働学習といったところか。

 グループで行う活動とは言え,幕末明治期の私塾の記録によると,塾生間の競争による「切磋琢磨」の機会であったようだ。そこには,解読すべきテクストに向かう真剣な眼差しが感じられる。

 現代のアクティブ・ラーニングを単なる活動に終わらせない鍵は,ここにあるように思う。当たり前のようだが,テクストとの格闘を疎かにしないこと。学ぶ側も,教える側も,だ。

 ウェブ上で先行研究を探してみる。膨大なデータを集めたCiNii(http://ci.nii.ac.jp/)と,機関レポジトリなどのPDF公開は,本当にありがたい。以下,公開された前田勉先生の論考中,「会読」をタイトルに含むもの。
   http://ci.nii.ac.jp/naid/120003934633
   http://ci.nii.ac.jp/naid/40019309424
   http://ci.nii.ac.jp/naid/120001249953
   http://ci.nii.ac.jp/naid/120005261226
   http://ci.nii.ac.jp/naid/110005001481


 私は,昨年度の英学史支部例会シンポジウム提言をもとに,以下の文章を書いた。

  • 「訳読史とアクティブ・ラーニング」(シンポジウム・英学史研究とこれからの英語教育)『英學史論叢』第18号 pp.41-46.

 ここを出発点とし,訳読史の一側面としての会読について(特に英学における実態や独習書との接点について),すぐれた先行研究をひもときながら,会読そのものを解読していきたい。