こんな好きなことを一日たりとも休めますか

今なら「オンライン飲み会」か。それもあるけど,毎日パソコンに向かって授業のこと,研究のことをあれこれ考え,打ち込んでいる。そう,キーボードも,心もだ。だから私にとって,今,休めないのは(オンラインで)教え学ぶこと。

タイトルは2年前に亡くなった衣笠祥雄氏の言葉から。編者をつとめる紀要の編集後記に引用した。

 鉄人・衣笠祥雄先生が亡くなられました。私は時折,氏のことを「先生」と呼んでいます。大講義室で語ってくださった一言一言に感銘を覚えたからです。

 衣笠氏は,1988年から 89年まで広島大学特別講師,2000年から 2008年まで広島県立大学客員教授を務められました。院生時代に広大で,教員となって県大で,計2回の講義を聴く機会がありました。プロ野球選手としての栄光と挫折を振り返り,対人関係をどう築いていけばよいか,ご自身の体験を語ってくださいました。

 このお話が印象に残っているのは,当時の私の悩みのほとんどが人間関係についてのものだったからです。先生のお話のおかげで頭の中の整理がつき,ものごとをポジティブに受け止められるようになりました。感謝しています。

 「野球が大好きでした。こんな好きなことを一日たりとも休めますか。」という氏の言葉に心が動かされます。(『英學史論叢』第21号 編集後記より)

オンライン授業では,今まで使ってきたツールと,このたび始めたツールを組み合わせ,あれこれ試している。ネット上のどこかでつながる学生諸君の反応に,新たな可能性を感じることも多い。

今日は集中講義「英語教育ゼミナール」の3コマ分を,一部リアルタイムでつないで行った。moodle へオンデマンド課題をアップする準備の過程で,研究のヒントがあれこれ浮かぶ。なにしろ,バーチャルな空間でリンクを辿ることが続くため,頭の中のリンクもいつになく活性化する。

いくつかある作業拠点の一つは,積読スペースの多い場所。重ねた本をリアルに置き換える際にも,あれもこれもと発想の連鎖が始まる。

今期のオンライン授業は,同時進行でいろいろ準備をしているが,第二言語習得のことから,蘭学のことまで,欲張りな準備が続く。時事ネタや洋楽から学ぶ英語の素材探しも楽しい(しんどいけど)。

しんどいときには,鉄人のエピソードを思う。こんな好きなことを一日たりとも休めますか。

 

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限りなき挑戦