ふるほん

ブックオフ相田店
植草甚一『古本とジャズ』(ランティエ叢書10)角川春樹事務所 1997年 (550円)

即興でスラスラっとかけたわけは、そのころやたらと英語の文章を暗記していたからであって、大げさに言うとジャズ・ミュージシャンの即興演奏ってところかもしれないなあ。暗記していた英語のフレーズが、すこうし形を変えて頭から出てきたんだ。といって何を黒板に書きつけたかは忘れてしまったけれど、ただ一つ動詞の現在分詞形を文章のつなぎめに使ったとき、うまくいったなという快感があって、その瞬間の気持よさを、いま思い出している。(p.228)

沢木耕太郎『彼らの流儀』朝日新聞社 1991年 (600円)

アラビア語は格段に進歩した。一回目の時は、耳にした単語や熟語を手帳に書きつけ、機会を見て実際に使ってみる、というようなことを必死にしたものだった。使って通じればそれで自分のものになる。しかし二回目の時は、そうしたことをしなくともごく普通に話せるようになっていた。彼にとっての最良の語学教師は、現地雇いの運転手であり、コックであり、ガイドであり、ベドウィンだったのだ。(p.182)

渡部昇一和田秀樹『痛快!知的生活のすすめ』ビジネス社 2001年 (800円)

福原先生の場合は、イギリスに留学してアメリカ人とともにトーマス・グレイの原稿から起こして有名な詩を印刷しました。(中略)そのため、福原先生の英文学者としての業績を疑うものは、誰もいなくなりました。そのようにして英文学者としての地位を若くして築くと、福原先生はそのあとどんどん手を広げていかれました。本業についてそこまでやってしまうと、あとは自分のペースで仕事を進めていけばよいわけですから、興味の赴くままに次々と手を広げていくことが可能なのです。(p.99)