広島英学史の周辺(10)

(ニューズレターNo.43より。本当は(9)のはずが、(10)としてしまいました(^^;)
▼会員の皆様から、ご自身のご研究、あるいは地元の英学史関連の研究物を頂戴し、拝読するときの喜びは何物にも代え難いものです。昨年度末以降頂戴したご研究の一部をご紹介いたします。▼松村幹男先生より、ご著書『明治期・英語教授学習編年史(私家版)』(西日本文化出版, 2005)ならびに『随想 英学史の旅(私家版)』(西日本文化出版, 2005)。前者は『広島大学教育学部紀要』第2部に1980年から1994年にかけて先生がご発表になった9論文を所収。後者は昭和52年度のNHKテレビ「英語会話Ⅱ・Ⅲ」の月刊テキストに12回にわたって連載された、先生の英米でのご体験と各地での英学史研究をまとめられた随想集です。▼風呂鞏先生より、『へるん』特別号(八雲会・松江国際シンポジウム実行委員会, 2005年3月)、『へるん』第42号(八雲会, 2005年6月)。前者はハーン没後100年を記念して昨年10月に松江で開催されたシンポジウム報告書。後者には風呂先生による北海道でのご講演記録「記念講演・銭本健二とハーンの旅」、および書評「高木大幹『ハーンの面影』」が所収されています。▼両先生のご研究に深く感銘を覚え、英学史の道を歩み続ける喜びを感じています。▼能登原昭夫先生より、山陽学園大学山陽学園短期大学社会サービスセンター(編)『日本の文化・岡山の文化』(吉備人出版, 2005)。先生が長年ご勤務なさった山陽学園大学で行なわれた昨年度の公開講座の記録・講演集です。同大学・濱田栄夫教授の「岡山とエスペラント運動―ガントレットエロシェンコを中心に」では、明治33年から岡山の第六高等学校で英語を教えたガントレットエスペラントに出会い、それを広めていく様子が描かれています。彼の義弟・山田耕筰(作曲家)がエスペラントを熱心に学んだエピソードも。岡山の英学がぐっと身近に感じられ、12月の例会が待ち遠しくなりました。▼猛暑が続きます。ご自愛のほど。(馬)