英教史月報215号

日本英語教育史学会月報215号を発行しました。
抜粋は、ここ
今回のEDITOR'S BOX。
▼秋の広島例会は初めての開催でしたが、遠方からご参加くださった方もあり、エキサイティングで和やかな会となりました。ちょうどこの日から広島市中心部は胡子講(えびすこう、「胡子大祭」「えべっさん」とも呼ばれます)が開かれており、懇親会後の街の賑わいに驚かれたことと思います。商売繁盛を願うこのお祭り、広島に冬の訪れを告げると言われています。▼出講先でたった一人の院生とともにTom McArthur, Living Words を読んでいます。名著Longman Lexiconが生み出された背景のひとつとして、テーマ別かアルファベット順かという「知の排列」をめぐる歴史への言及もあり、読んでワクワクすることばかりです。「基本語とは何か」を深めようと始めた授業ですが、いつも「紙の上」「頭の中」「コンピュータの中」に広がる語彙の世界を彷徨いながら、果てしない議論に入り込んでしまいます。▼4月の導入で使った資料が高山宏「「学習」のパラダイム・チェンジ」(『現代英語教育』1995年2月号)。最近、同著者による『超人 高山宏のつくりかた』(NTT出版, 2007)を読み始め、圧倒され続けています。「新」テーマで苦しむ若い世代に対し「学魔」氏は、「出発点」に戻ってみては、と言います。「素朴な衝撃を孕んだはずの、出発点」がないのでは、とも。▼とにかく、本も事典も辞書も読まなくては、という気持ちを強くさせてくれる本です。「深くも私淑した田中菊雄先生」の箇所にも親しみを覚えました。▼出発点に戻るか、出発し直すか。いずれにしても、これからしばらくじっくり考えてみたいなと思う師走の朝です。▼久し振りの東京例会は、出来先生のご講演。とても楽しみにしています。(HB)