Tom McArthur

英語教育史の発表準備で、Tom McArthur の Living Words を読んでいる。所収論文の一つ "The vocabulary-control movement in the English language, 1844-1953." は、僕のテーマにとって重要なもの。彼の主張は、結局のところ、重要なのは選ばれた語のリストではなく、「語とは何か」の理論と、選定のための方法論、ということになろうか。

彼は Palmer が "constellation" と呼ぶ語の関係を重要視している。ロジェのシソーラスが実践した「テーマ別の辞書編纂」を Tom McArthur もまたロングマンLexicon で世に問うた。その源の一つとしてコメニウスを取り上げ、人間の頭の中の単語想起は「アルファベット順に行なわれるのではない」と述べた『辞書の世界史』は面白い。

平凡社ライブラリーに入っているコメニウスの『世界図絵』に解説を寄せた高山宏氏は、トム・マッカーサーの『辞書の世界史』や『レクシコン』を高く評価する。「コメニウスをコンピュータリズムに繋げられる可能性についての示唆ももらえる」と。

僕がかつて、Tom McArthur や Vannevar Bush を引用しながら構築を目指した「語彙学習システム」は、まだ未完のままだ。だがいつか、連想と基本語選定の関係をきちんと整理して、ウェブ世界に遊ぶ基盤づくりをしてみたいと思っている。(5:30)