英語教育史学会月報202号

6月の第194回例会の様子を伝える月報202号を発行しました(抜粋はここ)。次回例会では、久しぶりの例会発表に臨みます。タイトルは「森 修一『ニュー ナショナル リードル獨案内』と庄原英学校」。以下概要。

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発表者の勤務校が位置する広島県庄原市には、明治17年〜25年の間、「庄原英学校」が置かれていた。その間、明治19年から20年にかけて、英学校で用いられた教科書『ニュー・ナショナル・リーダー』の獨案内が庄原出身の森 修一によって書かれ、出版された(第1〜3巻)。本発表では、森 修一の『獨案内』の分析をもとに当時の英語学習のあり方を考察する。発表者がこれまで取り組んできた計量的研究を補完する「教科書の質的分析」を考えるきっかけとしたい。また、森の獨案内が生まれた背景について、庄原英学校の果たした役割とともに検討してみたい。
(なお庄原英学校については、寺田芳徳(1987)「庄原英学校と慶応義塾」『日本英語教育史研究』第2号、および同氏(1999)『日本英学発達史の基礎研究(上・下)』(溪水社)に詳しい。)
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概要を書きながら思ったのだけど、これまでの教科書研究は、僕たちのグループの計量分析を含め、編纂者の側に立った分析ではなかったか、と思います。上の「質的分析を考えるきっかけ」というのは、教科書はどんな読まれ方をしたのか、を分析の視点に加えたいということ。