倉田百三文学館講座第2回

午後から百三講座の第二回。先週に続いて今日も雪でした。今回の講師は高校の大先輩で歴史家の館長先生。「倉田百三と戦争」というテーマのお話でした。
昭和6年の「15年戦争」が始まった年から昭和18年に百三が死去するまでの間、右傾化を強める百三の姿を、彼の作品や時代背景から浮き彫りにする、非常に奥行きのある、深い講義でした。百三の位牌も展示してある文学館内での話だから、良いとか悪いということではなく、事実だけ追っていきましょう、という前置き。百三の出身地の人々が晩年の彼をどう評価しているか、複雑な思いで聴きました。『出家とその弟子』が広島の師団に属する兵士たちの愛読書であったことなどを聞くと、なおさらです。
ボソボソっと面白い挿入話と、固有名詞と固有名詞を次々に結びつけるクロスレファレンス。こんな風に歴史を語れるようになりたいと思う、素晴らしい講座に参加できたことを喜んでいます。
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ようやく授業期間が終了し、毎回何か新しい工夫をしてやろうと自転車操業で走り続けた日々に小休止。教えること以外で忙しいことも多いけれど、この時期に頭の中をしっかり整理して、一つ一つ研究を積み重ねていきたいものです。
『英語青年』3月号の英和辞典特集。投野氏の文章に、「ほとんどの電子媒体の辞書も、中身が「紙の辞書」を電子化したものなので・・・」という記述を見て、思わずアンダーライン。この問題は、今年度出講した大学院で、ただ一人の受講生とともにずっと議論してきたこと。「ゼロから設計する」ためのアイディアも温めているので、いずれ発表の場を持ちたいと思います。