英教史:第216回例会/Suicaを飲む機械

日本英語教育史学会第216回月例研究会が終了。参加者はやや少なかったが、非常に密度の濃い、充実した会となった。
共通一次試験の導入から現在に至るまでの、大学英語教育が抱える諸問題がテーマ。国際法・政治・経済などの視点を織り交ぜながら、問題の所在を整理し、発表者ご自身の取り組みなどを紹介しながら、問題提起が行われた。プレゼンは極めて明快で、質疑応答も活発に行われた。
私自身の抱える諸問題を解決するヒントをたくさん頂いた。また、英語教育をより広い視点から捉えるきっかけを与えられたように思う。「経験の地平」というキーワードが、強く印象に残った。

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Suicaを飲む機械

【英学徒の隠れ家日記より】

国会図書館から東京駅まで、最短で移動する方法はどれかと思案していた。いつもは半蔵門線で大手町まで行き、そこから歩く。大手町から一駅だけのために、丸の内線に乗り換えることもある。地下鉄の東京で降りるルートでも、図書館から新幹線のホームに辿り着くまで、トータルでかなり長い道のりを歩くことになる。
(「東京」という名の地下鉄駅は、丸の内線の一つだけ。最寄の駅なのに、新幹線ホームまではかなり遠い。地方から出向く僕たちにとって、この地下鉄との接続の悪さは、首都・大東京駅の不思議のひとつだ。)
さて、図書館に最も近い地下鉄駅は、有楽町線の永田町。半蔵門線の駅はそのホームを通り抜けた先にある。有楽町でJRに乗り継いだ方が早いな、と思いながら、Suicaを取り出し、自動改札の前に来た。
一瞬迷って、なにを思ったか、切符を通すところへSuicaを挿し込んでしまった。ゆっくりと機械の中に飲み込まれていくSuica・・・。
ゲートは開かず、ピコンピコンと音が鳴る。あっ、と気づいて、近くの駅員氏を呼んだ。
「すみません、Suicaを入れちゃいました」
「え、Suicaを入れちゃったんですか!」
はじめて、あの機械の中身を露出させて作業する現場を間近に見た。
「ああ、ありましたよ」と落ち着いて取り出してくれた駅員氏。ごめんなさい、と告げて、隣のゲートから入場した。
午前中、神保町から地下鉄に乗る前に、券売機でチャージした。あの機械はちゃんとSuicaを飲み込んで、残額データ読み取ってくれる。前によく使っていたメトロカードは、券売機にも自動改札機にも、通った。広島のアストラムカードだって、どちらもちゃんと通り抜ける。
東京の地下鉄改札機も、あの厚みのあるSuicaを飲み込んでしまったが、Suicaは2メートルほど先の吐き出し口までは辿り着けなかった。(だからボンヤリして通すことのないように、注意!)
でも、かざしても通しても、ちゃんと読み取ってくれるICカードはできないものだろうか。あるいは、そういう対応のできる改札機になれば、と思う。
チップを埋め込んだ少し厚めのICカードが急速に広まり、ぺラっとした薄い乗車カードに取って代わっている。改札機に通してしまったのは、僕がはじめてではないだろうな、きっと。

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