Star Series

umamoto2009-02-05

古書店では入手困難な明治・大正期の教科書『The Star Series of English Readers』。その第3巻をオークションで入手。大正3年の版。百年以上経っているとは思えないほど状態が良く、感激している。
この Star Series はかつて広島中学校で使われ、『英語之基礎』における語彙選定資料の一つでもある。図版もきれいで、興味深い読み物が続く。最初のレッスンに登場する Saburo君とその叔父さんと思われる人の絵が、やけに洋風だなあ、とツッコミを入れながらも、楽しく読んでいる。
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この英語教科書に関しては、かつての学会発表資料に、以下の記述がある。自分で引用した文章の記憶が曖昧だったので、個人サイトにあるGoogle検索窓で、「tom.edisc.jp内」を探して確認した。

「method に拘束せられず我流乍ら自由に自信のある所にて思う様扱って行ける寧ろ無メソッドの教科書をと申す事にして、世間格別用いられなかった所のStar Series と言う暁星中学校の姉妹学校なる大阪の明星商業学校に居られた米人 N. Walter と云う人の物を用いた事である。」
古賀圓太 (1933)「中學英語教育の回顧」廣島理科大學英語英文學研究室(編)『英語英文學論叢』4, 144-155.

書誌情報は、明治以降外国語教科書データベースでも検索できる。初版は明治40年。編纂兼発行者は、米国人 エヌ、ウォルター氏。このたび手に入れた大正3年版の奥付に、定価を記したシールが貼ってある。「四拾参錢」と書かれたすぐ横に「大正九年度臨時定價 六拾九錢」と。賣捌所の一つは大阪寶文舘。この社名が表紙や扉にも書いてあるので、発行に関わったものと思われる。
ちなみに大阪寶文舘は、庄原で修業したこともあるとされる吉岡平助氏が興した書店ではないかと思われる。上の外国語教科書データベースにある奥付写真では「吉岡寶文舘」とある。「大阪書房」と呼んでいた時代もある様子。この書店・出版社の歴史について、社名や所在地の変遷なども調べてみたい。