ウヰルソン氏第二リードル独案内

umamoto2009-08-02

西山義行(挿訳)『改正増補ウヰルソン氏第二リードル独案内』加藤鎮吉・亀井忠一(明治18年8月)
当初は2分冊であったものを合冊したもの。近代デジタルライブラリーには、それぞれの分冊がある(第1冊第2冊)。原著はここ
明治期の英語教科書として用いられたウィルソンリーダーは、当時の国語教科書「小学読本」のモデルとしても知られ、国語教育史の分野でも研究が行われている。
このたび入手した独案内、各頁のレイアウトは11行からなる横書きの原稿用紙ふう。それぞれの行には、発音・英単語・訳語・訳順の数字が4段に配置されている。きっちりと枠のあるレイアウトなので、すっきりと読みやすい印象を受ける。
訳読の歴史を知る上で、この「独案内」はとても興味深い史料だ。一つの単語に一つの訳語が与えてあるとは限らないところが、今も昔も訳読に苦労するところだろう。ついそうした点に目がとまる(「そうした点」って、何のことだか分かりませんね。やがて研究資料としてまとめたいと思います)。
ナショナル読本よりも少し前に、ウィルソン読本独案内の出版はピークを迎えている様子。この時代は、英語の「訳読(法)」が急速に広まった時代と言えるかも知れない。当時のことをよりよく理解するためにも、ナショナルばかりでなく、ウィルソンの現物資料も集めていきたいと思う。