幻?の「ベーシック辞典」

アマゾンから書籍が届く。相沢佳子『850語に魅せられた天才C・K・オグデン』、竹内理『「達人」の英語学習法』、高山宏『近代文化史入門』、鹿島茂『神田村通信』。
オグデンのベーシック・イングリッシュは、研究対象として少しずつ資料を集めている。1930年のBasic Englishと、1932年に出たThe ABC of Basic Englishとでは、850語表の中身が微妙に異なっていて、この調査を進めているところだ。
この表の「動揺」については、1936年に須貝清一氏が「Basic Englishに関する疑問」(『言語問題』2巻2号)の中で指摘し、「850語の中には増減の可能性が幾多存している」と述べた。相沢氏の本でどの程度「ベーシック語表の揺れ」が論じられているか、楽しみに読んでみたい。

1937年4月に出た『言語問題』3巻3号は「岡倉先生追悼号」。宮田幸一氏の追悼記の中に、「三年前から委嘱されながら不健康と怠慢のために延び延びになっていたベーシック辞典編纂の仕事があと一週間で完成するという真際になって先生は突然逝去された」とある。
さっそく検索を始めたが、宮田の名で出た「ベーシック辞典」はヒットしない。岡倉の名で出た辞典の中に、該当するものがあるかもしれない。しばらく探してみることにしよう。