勉庫?

【英学徒の隠れ家日記より】


週末になると何回か、短い時間を過ごすこじんまりした場所がある。目の前には写真のような貼紙があって、しばし言葉についての思いを巡らす。
小学校3年生で学習する漢字が画数順の音読み順に並ぶ。特定の漢字に注目すると、その周囲を8つの漢字が囲んでいる。
たてよこななめ。ただ偶然、隣接しただけの漢字同士だが、偶然にもある熟語を構成していることがある。
写真の中央の「事」、返事、事物と物事、事実、そして事始。おっと、表事も服事もあるぞ。かなりの確率で熟語を構成するのだ。
「勉」の周囲を見てみる。宮、庫、根、病、流、商、進、深の8つが囲むが、どんな熟語があるだろうか。「進勉」や「深勉」ってあってもよさそうだけど。
「酒」はどうか。秒、品、負、根、消、流、旅。「酒品」「旅酒」「負酒」などはどうか。
新しい熟語を創造して楽しみながら、この偶然のいたずらから、「基本語」のことを考えている。事と勉と酒の中でどれが一番「基本度」の高い語か。この問いに答える基準として、たくさんの熟語が生成できることを挙げても悪くはないだろう。
英語でもそうだ。使用頻度が高い語を基本語と呼ぶことに反論はしない。ただ、何が使用頻度を高めているのか、その語のもつ性質にもう少し目を向けてみたい。そう、たくさんの語と共起する語。みんなと仲良しだから、どこにでも顔を出す。だから登場回数が増えるのだね。
ほっとする勉庫でのひとときに、こんなことを考えた。