カバーのない本

【英学徒の隠れ家日記より】

 カバーをとって、またかける、と書いた。きれいな装丁の施された、その本独自のカバーのことだ。
 新刊書店で文庫や新書を買うと、その書店の包装紙のようなカバーが要るかどうか尋ねられることがある。このカバーをすると、どんな本でも同じ柄で包まれることになる。僕はいつも、迷わずノーと答えるが、乗り物の中でそうしたカバーをかけた本を読んでいる人もいるから、きれいな装丁のカバーをさらに保護する(あるいは隠す)包装紙カバーの需要はかなりあるものと思われる。
 ウィキペディアで「ブックカバー」を引いてみる。きれいな装丁のカバーの「中身」については、「それに対し、本体の表紙・裏表紙・背表紙のデザインは非常に簡素になる。無地や、簡単な幾何学模様、カバーをモノクロにしたデザインなどが多い。」と記されている。そう、カバーを外してしまうと、一瞬で何の本だったかを見分けられなくなることがあるのだ。
 ただ、日本の本の中にも、本体にきれいな装丁が施されたものがある。たとえば写真の2点。いつ手にしても楽しい本だ。見て、触って、そしてもちろん、読んでも。こんなふうに本体がカラフルな本には、つい引き寄せられてしまう。