独案内のフレーズ感覚

umamoto2009-09-03

独案内は「英語の各単語に訓を施して、返り点によって語順を示す訓点本」(森岡健二『欧文訓読の研究』1999)と言い表されることがある。各語に訳語を付し、訳す順を表す数字が与えられているのだ。
写真の独案内は、藤澤平司訳『ニューナショナルリードル第三独案内』東京:目黒十郎(再版:明22.08)。本文を見ると、必ずしも「各語」に訳が与えられているわけではないことに気づく。

  • sit...down [3]坐セ
  • had...to...sleep [7]眠ラザルヲ得ザリシ
  • In...the...middle...of...the...night [1]其ノ夜半ニ
  • into...the...cot [2]籃中ヲ
  • by...the...light...of...the...moon [7]月光ニテ

などは、複数の語の間を点線で結び、その「まとまった単位」に対して訳と訳順の数字(上の[ ]内の数字がそれ)が与えられている例だ。
こうしたフレーズの捉え方は独案内によって様々だが、語ではなく語群で意味を捉えようとする試みは、古くから始まっていたことが分かる。