復刻版あれこれ

umamoto2009-08-14

お盆の今週は、夏休みの本番らしく、「帰省」や「行楽地」といった言葉が様々なメディアを飛び交っている。
そんなこととは無縁の僕は、前期末試験を終えたばかりの先週末から、緊張する仕事の毎日を送っている。若い人たちや、大先輩の方々を前に話をする機会もある。疲労は激しいけれど、良い経験を積ませてもらう日々だ。こうしたあれこれが続く8月と9月。もう「夏休み」なんて呼べないな、と思う。
合間に訪ねた古書店2軒、それぞれで「復刻版」を手にした。一つは写真の旅行案内(『汽車汽舩旅行案内』1, 庚寅新誌社, 1894)。
明治27年10月に発行された「わが国で最初の時刻表」の創刊号だ。日清戦争が始まり、広島に大本営が置かれたこの年。神戸と広島を結ぶ山陽鉄道の広告には、「急行列車ハ九時間餘速力全國其比ナシ」とある。(復刻版は1981年、あき書房
もう一つは、広島縣廳編纂『廣島縣史附録 藝備年表』(帝國地方行政學會, 1925。復刻版は1974年、春陽社出版)。
紀元前からの歴史が、干支と皇紀で記された年ごとに記述されている。例えば明治5年は、「壬申(二五三二)」の下に「五年○月○日」という書き出しで、その年の広島県に関わる事柄が列挙されている。干支が記さているのはこの年までだ。元号は初年にのみあり、西暦の記載もないので最初は戸惑う。必要に応じて、紀元から660を引いて西暦を求めるが、なかなか骨が折れる。
この年表は、紀元2555年で終わっている。明治28年だ。明治27年の時刻表と同じ日に入手したのは単なる偶然だけど、両年とも関心をもって調べを進めている年なので、これも縁か、と思う。