必須語彙と例文

umamoto2009-07-10

ブログの名前を変えて以来、これまでにも増して、地元ゆかりの資料が思わぬ形で手に入ったり、閲覧する機会に恵まれたりしている。
写真はお世話になっている古書店のウェブ目録でたまたま目にし、手に入れた『必須國文語彙類例』(縣立廣島第二中學校國漢科編)。
B6判96ページの小冊子。上段は「語彙」、中段は「類例」、下段は「備考」。上段の各語の下に例文や類語が並ぶ。備考欄は空欄だが、鉛筆書きで語義などがメモしてある。
しがらみ(柵)、色代、しぞく、したたむ、したり顔、しづ、しとど、しな、・・・と続く見出し語を眺め、わたしたちのことばの豊かさや趣を思う。よく知っている一節が例文として挙げられていると嬉しい。けれど、知らない文のほうがはるかに多いので、ここでも勉強不足を痛感する。
旧制中学の国語の先生たちが自校の生徒のために編み、配布した教材だろう。奥付は無いが、大正11年に開校したこの学校で、大正の終わりから戦前期に使われたものかと思う。各例文の出典は明らかにされていないが、その当時、教科書として教えたのであろう作品の数々が盛り込まれているようだ。
シンプルなつくりだが、語を覚え整理する道筋を示す「単語帳」の一例として、とても興味深い。英語の授業のための、単語と用例データベースを作成するヒントになる。