JFKではない。「JOFK」はNHK広島放送局ラジオ第一放送のコールサインだ。
日本放送協会広島放送局の放送開始が1928年(昭和3年)の7月。この年から、ラジオの英語講座が始まった。写真はそのテキスト。
- 『JOFK English Text-Books Primary Course II』(英語講座 初等科 第二) 1928年10月
- 『JOFK English Text-Books Primary Course III』(英語講座 初等科 第三) 1929年4月
いずれも編輯・発行は日本放送協会中国支部。講師は広島高等師範学校教授、桜井 役。講義の放送期間と時間は、
テキストの内容は、
第二:1レッスン1ページ、20レッスン(Lesson 19 のみ2ページ)。平易で身近な内容の英文。
第三:1レッスン2ページ、12レッスン(Lesson 11 のみ3ページ)。平易なストーリー。
それぞれ各ページ下段に新出語が発音記号とともに並ぶ。各レッスン末には、文型やイディオムが挙げられている。「コミュニケーション」が全盛期を迎える前の、中学校英語教科書の雰囲気があるが、挿絵は全く無い。
この連続講義の第一は、おそらく広島放送局の放送開始後、間もなくして始まったのではないかと思われる。このシリーズが第○まで続いたのか、誰がどのように聴いたのか、なぜテキストが「非売品」なのか、調査を開始したいと思う。
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実はこの2冊のテキスト、敬愛する先輩から「こんなん出てるで」と教えてもらい、慌てて古書店から入手したもの。こうしたテキスト類は、図書館などで保存されることは稀で、古いものの入手は困難を極める。本当は、教えてくれた方ご自身が手に入れようとされたのかも知れないが、広島関係の資料だということで、わざわざ連絡してくださったのだ。感謝感激!
岡倉由三郎が講師を務めた「英語講座」(東京放送局)は1925年に始まった。広島の「英語講座」はその3年後だ。この歴史を調べるのは僕の仕事だと、かのアツい先輩も考えて譲ってくださったのだろう。ありがとうございます。
上の第三テキストの最後の文を引用して、今日の締めくくりとしたい。
"Gentle words and acts of love will help to make them happy."